おばぁちゃん、ありがとう

私はいわゆるおばぁちゃんっ子だった。


小さい頃はよくおばぁちゃんの家に行き、田んぼで遊んだり、卵焼き作ったり、手伝いしたり。

怒られた記憶はあまりない。

優しいおばぁちゃんだった。

大人になるにつれ、少しずつ足は遠のいていったが、それでも時々顔を覗かせては、おばぁちゃんの顔を見て安心した。


ところが数年前認知症になり、私のこともだんだん分からなくなってしまった。

それでもニコニコするおばぁちゃん。

認知症になっても穏やかなままのおばぁちゃんだった。

でも、やっぱり淋しくて。

名前も顔も忘れられた事が受け入れられず、悲しかった。
仕方ないことだと分かっていても。

1カ月前、おばぁちゃんは体調を崩し、救急車で病院へ運ばれた。


危篤状態から回復し、お見舞いに行った。

「大丈夫?痛いとこない?」

話しかけるとニコニコする。
 
おばぁちゃんのニコニコ笑顔はやっぱり安心した。

それから何度も病院へ足を運んだ。



無理だと分かっていても、ついつい聞いてしまった。

自分を指して「おばぁちゃん、誰だか分かる?」と。

その言葉におばぁちゃんは、返事をした。

私の名前を呼んでくれた。

2度も呼んでくれた。

嬉しくて嬉しくて、子供と一緒に「今、言ってくれたよね?ね?」とはしゃいでいた。


それがおばぁちゃんに会った最後だった。




まだおばぁちゃんがいなくなったのは受け入れられないけど、おばぁちゃんから学んだことが沢山ある。

本当にありがとう。


おばぁちゃんの孫で、良かった。